一通り配線が終わったら、余った部分にGNDの強化として「ベタグランド」を配置します。
ベタグランドを追加することにより、基板の安定動作やノイズ耐性が向上します。
何より見た目の基板のカッコ良さが格段に増すので、試作等であってもぜひ追加したいところですね。
ベタグランドの追加方法
ベタグランドを追加するには、右ツールバーの「塗りつぶしゾーンの追加」を選択します。
「導体ゾーンのプロパティ」画面が開くので、まず追加したい「レイヤ」、「ネット」を選択します。
クリアランスの設定等がありますので、必要に応じて数値を変更する必要がありますが、通常は初期値のままでOKでしょう。
あとは、「外枠の角度」を「0,45,90度」を選択します。
これを選択しておくと、枠を描く時に45度の角度を付けやすいです。
配線は角を作らないが鉄則ですよ!
上記の設定を行った後はベタグランドの外枠を描いて行きます。
とりあえず、基板サイズ目一杯に囲みましょう!
そうするとベタグランドが生成されるわけですが、下図のようにGNDでない端子や配線が自動的に逃げて作成されます。
とても楽ですね!
ベタグランドを追加した直後は逃げた状態になっていませんので、上部ツールバーの「デザインルールチェックの実行」を行ってみてください。
基板設計の経験が無かった頃、「1個1個奇麗にGND以外の端子を避けてベタグランドを作ってくれている基板屋さんはすごいなぁ」なんて思っていましたが、実は簡単にできてしまうんですね。
何事も自分で実際に経験してみると以外にできてしまうことって結構あると思います。
難しいと勝手に考えて行動を抑制せずに、「まずはやってみる」という気持ちを大事にしたいなと、基板設計をやり始めて強く感じました。
グランドを強化するビアの配置方法
ベタグランドを作ったらビアを追加してグランドをさらに強化しましょう。
大きな面で作ったグランドですが、表と裏で重なっている部分にビアを追加することによって立体的となり、さらに強いグランドとなります。
表と裏で重なっているグランド部分にビアを追加するだけなのですが、KiCADですと、ちょっとクセがあります。
私がよく使っていた「CADLUS X」であれば、ビアをポンポンとクリックするだけで追加できたのですが、KiCADで同じように配置するとうまくいきません。
なぜなら、ビアがGNDと認識されない為、前項で示した図のようにGND以外の端子と同様に逃げが発生してしまうのです。
それを回避する為には、GND端子から配線を開始し、GNDが重なっている部分に適当に数珠つなぎでビアを配置しながら配線を行っていきます。
これでビアがGNDと認識されて接続されます。
基板取り付け穴の追加
おそらくどんな基板でもどこかに固定する為の穴が必要になるかと思います。
その穴もビアの配置で行います。
ビアの形状(ドリル径)などは「カスタムビアサイズ」ということで、自分で設定しておく必要があります。
設定方法は下記記事を参照してください。
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【KiCAD】PCB設計(初期設定から部品配置まで)
回路図作成、フットプリントの作成が完了したら、いよいよPCBボードの設計となります。 昔は専門の業者さんへ依頼するのが普通でしたが、今は無料のCADで自分で作れるようになったで、良い時代になったもので ...
基板穴はグランド強化用で配置したビアと同様な手順で行いますが、私がやっていた中で非常に悩んだ部分がありました。
基板穴は寸法指定が必要なのですが、位置の指定方法が良くわかりませんでした。
しょうがないので、下記の方法でなんとか指定することができました。
まず、ビアを適当に配置した後、そのビアを右クリック→「ビアの移動」を選択します。
ビアの中心を基点としてマウスで自由に移動できる状態になるので、画面の最下端にある座標を確認しながら配置します。
※ビアを配置する座標をあらかじめ計算しておく必要があります。
※穴位置の寸法精度によって適切なグリッドを選んでおくと配置しやすいです。